2011/06/30

#1 赤メア亭 -赤いメアとベテランの絆-


http://loc.to/uo/?ASKT107o14N34o2W




Yewのムーンゲートから北東に走り、広大な森を抜けた海を望む岬。そこに毎週月曜だけ一艘のガレオン船が横付けされる。その甲板の上では、さながら海賊達の宴会のようにどんちゃん騒ぎと笑い声が響き渡っている。彼らはこれから狩に出かける。その前祝として、彼らは笑うのだ。






古参プレイヤーであるYAMA氏が、この船上酒場を開いたのは2011年の1月と比較的最近の事である。長い間Britaniaにとどまり続けた彼が、なぜ今頃になって酒場を始めたのか。その理由の一つに、彼を象徴付ける相棒の存在があった。


赤メア。多くの冒険者が手に入れたいと望む至高の存在。全シャードに現存している数は、恐らく両の手の指ほど。ASKシャードにはわずか二体しかいない、赤いナイトメアである。究極のレアリティを持つ赤メアは、所詮ただのデータではあるが、それを巡って様々なプレイヤー達が数奇なる道を辿って来た。


今その内の一頭を、YAMA氏が所有している。実は彼は七代目のオーナーであるらしい。YAMA氏は元々98年ごろのプレイヤーであり、当時から様々な人々と交流があった。その繋がりの中を巡り巡って、赤メアは彼の元にたどり着いたのである。




かつて存在していたギルドOZ。そのGMがASKシャードの赤メアを全てテイムすることに成功した。赤メアはモヒカン、ロン毛、深紅の三匹が、各シャードにたったの一度だけ沸いた物。それらを全て管理していたOZであったが、何が起こったのかその内の一頭(深紅)は、何代目かのGMであるakira氏のミスで消失してしまう。

早くも残り二頭となった赤いナイトメア。その内のモヒメアだが、その後もPAYAZO氏など様々な飼い主の手に渡る中で、実に二回の野生化を経験している。仕様変更やうっかりミス、そしてプレイヤーの引退。紆余曲折を経てYAMA氏の元に流れ着いたのは、五年前のことである。

YAMA氏の赤メアにかける想いは、親が子へ注ぐ愛情と似ている。彼は相棒にまたがり、各地へと飛び回った。さすが赤メアと言ったところか、銀行前に姿を現せば一瞬で人だかりが出来る事もあったらしい。その行動は、決して自らの虚栄心を満たすために行われたのではない。


「モヒメアの存在をアピールすれば、いつかロンゲメアに会えるかもしれない」

"片割れのロン毛が、まだ存在している"そんな噂を聞いたYAMA氏は、なんとか自分のモヒメアと引き合わせたいと考えていたのだ。その時から、彼のUOライフは赤メアを中心に回り始める。

全ては赤メアの為。YAMA氏は赤メアについて徹底的に調べつくした。蒐集した知識の量は、それだけで本が一冊出来上がるほど。伝説的な赤メアと共に旅をすることで、片割れの情報も断片的にではあるが耳に入るようになってきた。そしてついに、WKKシャードにASK原産の赤メアがいる事を突き止めたのだ。

その時の出会いをYAMA氏は、「嬉しかった」とだけ語った。


赤メアと共に各地を放浪したYAMA氏。しかし時間は、彼らにも平等に残酷であった。Ultima Onlineほど息の長いゲームを、98年からのプレイし続けているならなおさらである。長く続けていればいるほど、多くの出会いと同じくらいの別れを経験しなければならない。

周りの人間が次々に引退していく中、彼も自分のUOライフを見つめなおしていた。そして三、四年前、自宅を自ら腐らせて、再スタートを決心する。当時多数存在していたUOブログを巡回し、それと平行してPC酒場を巡るようになる。最初に訪れたLittle Cafeを皮切りに、その行動範囲はシャードの垣根を越えて広がっていった。

広がり続ける交流の輪の中で、PC酒場を立ち上げたいと思うようになった氏は、ついに2011年の年明け早々、YMTシャードで既に酒場をやっているYUKA氏と共にこの船上酒場をオープンさせる。

酒場の名前の由来は、もちろん相棒の赤メアである。

船の上では笑いが絶えない


赤メア亭の営業スタイルは、これまでのYAMA氏の経験に立脚している。前述したとおり、赤メアの為に各地を放浪した彼にとって、シャード間トラベルは当たり前である。ホームを離れたプレイヤーは、新天地で一からやり直さなければならない。装備に資金、そして人脈もゼロの状態から第一歩を踏み出さなければならないのだ。

YAMA氏はそんな人々の一助となればと、赤メア亭をシャードトラベラー達に開放している。初期の資金作りだけではなく、出会いをサポート出来る場所にしたいと語った。顔を出す常連の中にも、何人かシャード間を移動してきた方がいる。もちろん、ASKシャードを拠点としているお客も常時大歓迎だ。

また、船上酒場である赤メア亭は、船としての機能を十分に活用している。冒頭に述べたとおり、冒険者たちは船の上で酒を飲み、笑い、馬鹿話をし、英気を養ったところで狩に出かける。現行最新のUOクライアント「未踏の航路」では、海での冒険をコンセプトにしている為、営業終了後に酒場であった船をそのまま潮流に乗せて、海賊や魔物を討伐しに行ったりなどはもはや恒例であるらしい。

また、YAMA氏はRead Mare Pirates[RMP]というギルドを立ち上げている。赤メア海賊団などと物騒な名前であるが、その主な活動は先に述べた船での狩り等である。幸運なことに、今回の取材の最中、YAMA氏や他の常連達の好意により、彼らの活動へ参加させて貰える運びとなった。

以下、その後の顛末をSSで掲載する。
どこに行くか、みなで相談。復帰組みの私にとって、目頭が熱くなるほど懐かしい光景。

いざ出航!

目的地では、いきなり不穏な光景が。

多分ボスである何かと奮闘するRMPの精鋭たち!


まぁ私はずっとこんな感じでしたが。

「今日遊びに行く前に、一回山本の家に集合な!」

常に鼻水を垂らしていた小学生の頃、よく友達に言われた言葉だ。赤メア亭は、私にとって山本の家になりつつある。それは決して自分だけではないだろう。ここに集う客にとって、赤メア亭は遊びに行く前の合流地点なのだ。

*****

ちなみに、赤メア亭は何度も述べているように船上酒場が基本的な営業形態である。しかし、船に乗れない(未踏の航路クライアントをインストールしていない)PCのために、PCハウスを利用した店舗が併設されている。





ハウスカスタマイズの導入により、より自由度が高まったPCハウス。多くの酒場も独自に家を建て替えている。赤メア亭は、非常にコンパクトかつシンプルで分かりやすいデザインとなっている。

海の家のような外観の建物が、横付けされている船のそばにある。よく見ると柵の中に熊を背負った赤いナイトメアがいる。





店舗一階部分は酒場スタイルとなっており、船に乗れない理由がある場合は、常連も店員もこちらに移動する事となっている。
猫が*ガブッ*っと噛んでいるのは、撮影スタイル(兎)の私である。






店舗二階では、酔いつぶれてしまった客の為に休憩スペースが作られている。海風に吹かれて酔いを醒ますのもよし。波音に誘われて眠りに落ちるのもよし。
海賊達の根城というよりも、どこか海の家を思い出す開放感がある。







船の上でも、陸の上でも、赤メア亭のスタイルは変わらない。シャードトラベラーも久方ぶりの復帰者も、つい最近始めたばかりのヤングさんも、是非一度訪れてみてはどうだろうか。





赤メア亭
トラメル Yewムーンゲートから北東 
海に突き出る半島の付け根
営業時間 毎週月曜夜10時から

[EOF]

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