2011/08/03

#4 居酒屋ポン酢亭 -新しい風-









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居酒屋ポン酢亭公式ブログhttp://uo-ponz.jugem.jp/




ベスパーミノック間の土地に、2011年の5月、一軒の新しい酒場が誕生した。美味しい料理に美味しいお酒。吹くは順風。彼らの航海は、今のところ順調だ。









ポン酢亭の賑わいは凄まじい。客の笑い声が私達の言葉をかき消すたびに、お互いが見合って苦笑いを一つ。Pon氏にとって、現実になった理想は中々に与しにくい相手になったが、その顔には充実感が見え隠れしている。

飛鳥のPC酒場事情は、それなりに色々あったようだ。現在は落ち着いているが、一時期は大乱立と評されるほどに多くのPC酒場が誕生しては消えて行ったらしい。その中で、荒波にもまれながらも、現在も変わらず営業を続けている酒場は少ない。椅子椅子亭や縞々亭などの老舗ならいざ知らず、ぽっと出のPC酒場が長生きできるほどに、UOの世界は甘くはなかったようだ。

そうして、雨後の筍たちが駆逐された平野に、竹の花のように一軒の酒場が開店する。店長兼料理長であるPon氏の名を取って、ポン酢亭と名づけられたこの酒場には、毎夜毎夜多くの客が訪れる。





Pon氏はUOの料理の魅力に取り付かれた一人だ。それはただのデータに過ぎなくとも、プレイヤーの工夫次第で高級料理になるし、馬の餌にもなる事を知っている。この楽しみを広く知らしめるために、料理人育成ギルドGoCを設立した彼は、精力的に活動しギルドメンバーを着実に増やしていった。

そんな中、ギルドのエミサリーであったRana氏が突然酒場の開店を提案した。半ば強引に案件は可決され、建設されはじめた店を前に、Pon氏はしばし唖然とした。

彼のUO暦は二年と、他の酒場店長達と比べれば短い。だが、何度かの引退と復帰を繰り返しているため、見かけよりずっと経験が深い。その不定期なUOライフの中で、一度自宅を家酒場に改装したこともある。結局そこに客が来ることはなく、彼は人知れずUOから引退したが。

そして今、GoCを立ち上げた自分が、また酒場をやる事になるとは思いもしていなかった。未来というのは見通しが利かない物だ。順風満帆で進む船が、暗礁に乗り上げる事など珍しくもない。Pon氏の今回の復帰は、果たして最後の物になるだろうか。少なくとも、彼が楽しくやっているのは事実だ。


ポン酢地階は駐獣場兼倉庫だ。
GoCの特色は、この酒場にも色づいている。料理人というRPが、無理なく酒場に定着しているのだ。この店で「シーサーペントの刺身」を頼めば、本当に「シーサーペントの刺身」が出てくる。絞りたてのミルクをメニューに載せるためだけに、酒場の地階には牛がつながれていたりする。

ここの料理には納得があるのだ。刺身の材料を取りにいくために、わざわざ戦いに出る料理人や、ミルクを絞るための牛を常に連れているRana氏など、ただのデータに説得力を持たせている。UOでは定番物のハンバーガー等にも力を入れており、キャラクターの背丈ほどあるバーガーにも、きちんと理由がつけられているから面白い。保守的でRP色の弱い飛鳥で、これほどまでに受け入れられているのは珍しい。


このような工夫が多く見られる。
新規気鋭の酒場だからこそ、彼らは様々なことに手を出している。街頭に立ち、酒場の宣伝をしている店員を見たことがある人もいるだろう。Web上での宣伝を除いて、現状飛鳥でこうした活動をしているのはこの酒場くらいだ。

名が売れていないPC酒場にとって、宣伝は経営の根本に関わってくる。黙っていても、人っ子一人来やしない。来たとしても、住宅街をブラブラする趣味を持つ奇特な者だけだろう。

ポン酢亭で飲んでいると、リコールの音が聞こえた瞬間に、店員が飛び出していく光景をよく見かける。飛んできた客は逃がさない。そんな意気込みが感じられる一場面だ。


客が増えれば知名度も上がる。結局のところ、全ての酒場が真に売り出すべきなのは、その名前だ。ポン酢亭は貪欲にそれを特価で販売し続けている。その手段は宣伝だけにとどまらず、様々な方面にも手を伸ばしているようだ。

Pon氏は既存の営業スタイルを守りながら、新しい手段を常に模索している。その一環として行われたのが、「他人の家を間借りして、酒場の出張営業を行う」という、今まであまり類を見なかった営業方法である。

Es氏宅(許可を頂いております)

なんとはなしに、自宅にカウンターと椅子を設けて、NPCバーテンダーを雇ってしまう人は多いだろう。悲しいことに、それがただのインテリアに留まってしまうのが現状だ。作った本人としては、そこに人が集まってくれるのが一番なのだが、なかなかそう上手く行かない。ポン酢亭はそこに目をつけ、出張営業先を探している。

第一回目の出張営業の場に、ヘイブンでは良く見かけるEs氏の家が選ばれた。海沿いの好立地である彼の家には、一階部分にカウンターが置かれている。窓を通ってそよいでいる海風と波の音が、ちょっと小洒落た海の家を髣髴とさせる作りだ。

ここでの出張営業の際、あるアイテムの価値が再考された。コミュニケーションクリスタルという、登場した当時もてはやされたが、IRCやICQの方が断然便利だった為に、殆ど忘れ去られていた物だ。今でもその名前を言われれば「そんなもんもあったね」で終わってしまう不遇の存在だったが、酒場営業においてはこれ以上ないほどの利便性を発揮したのだ。



一階カウンター席とは別に、オープンテラスの二階席がある。酒場店員は注文などを承る際に、このコミュニケーションクリスタルを活用していた。声が届く範囲を意識しながら、ハウスカスタマイズのレイアウトを考えなければならなかった酒場関係者にとって、コミクリの活用は現状に一石を投じるものになりうるかもしれない。



また、営業終了後には狩に出かけた者と留守番を任された者で分かれたが、コミクリがあったお陰で、出かけた者達の言動が中継された。双方向で通信が出来るために、ヘルプ要請などの対応も潤滑に行え、何よりお互いがお互いに共通の話題で盛り上がれ続けたのは大きい。

Pon氏やEs氏もこのコミクリの機能には満足感を抱いていたようだ。今後の出張酒場等でも、より有効的な利用が可能となるだろう。また、Pon氏はつい最近GoCを解散させ、新しくCKというギルドを設立した。前者はあくまで料理人の為のギルドであり、彼らの育成を助ける事だけが目的であったが、CKではそれに加えて様々な方面へと進出できる器量を持たせている。

要するに、他の多くのギルドと同じく「なんでもやる」わけだが、ポン酢亭関係者達のバイタリティに後押しされて、今後更なる発展を遂げるのは想像に難くない。


酒場の乱立を経て、新しく誕生したこの酒場は、他では見られない若々しさと行動力を持っている。だが、いつまでも順風満帆な航海を続けられるとは限らない。常連達による客層の固定化や、店員の質、そして何よりもリアルの事情というものが、どこかで壁として立ちふさがるはずだ。

そのような事を聞くと、Pon氏はまた苦笑いを浮かべていた。「まだまだ一杯一杯」と語る彼の傍には、天真爛漫に動き回るRana氏やLemon氏他、ポン酢亭店員がいる。未来について、確約できることは何一つとしてない。それでも私は、ここなら何とかなりそうだと、銘酒ワイルドハーピーを呷りながら思ったのだった。








居酒屋ポン酢亭
ミノック・ベスパー街道付近
毎週木曜日 21時から営業中

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5 件のコメント:

  1. がっははー、みにきたよ!
    さっちゃんでかした!
    これはいいね!

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  2. がっはっはー!記事に感想、これが初めてなんだぜ!
    ラナさんでかした!
    ありがとあした!

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  3. みつばち*ニキータ2011年8月17日 18:59

    遊びに飛んできまっさよヽ(> <*)8ぶぶ〜ん

    ポンさんのプロフの
    「たいまつがついている時は熱いです」の
    「熱い」っていうところが好きなんでっさが、
    よくぞ取り上げてくださいまっさね!

    それにしても、どこかの雑誌のライターさんが
    書くような文章まわしで……

    読み応えがございまっさよ(≧▽≦)ノシ

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  4. あわわ。 今頃気づいてすいません!
    「たいまつがついてる時は熱いです」
    こういう小ネタ好きです。
    Are You With Ass?とかも。

    文章はもうまだまだ精進せねばと
    毎回推敲する度に思い知らされますグギギギ

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  5. 今回はいつ気づくかなーっと。

    時々読んではニヤニヤしてます。最新記事であるTSSについてもコメントしたいのはやまやまなのですが、実は行ったことないという…

    マンネリ化とも言うべき事態は、少なからず自身の心境的に訪れていたりします。
    ここらでどういう行動に出るかで、今後のポン酢亭の運命が変わって来る様な気もします。

    ある程度のこだわりを捨てて自身が楽に営業できる道を選ぶべきか、それとも燃え尽きんばかりにこだわりと情熱を注ぎ続けるべきか…
    椅子椅子亭なんかを見てると、自然体が一番いいのかなって気もするんですがね。自分にとっての自然体が何かって事すら半年ぽっちの経験じゃまだよくわからんですが。

    さて、今宵の為のメニューでも書くかな。

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